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豊島区、池袋の岡本税理士事務所

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役員報酬額の決め方<基本>

始めに

 まず、最初に申し上げておきたいことがあります。
 それは、
役員報酬額の決め方について、「これが正解」という決め方は存在しないということです。
 なぜなら、皆さんはそれぞれ価値観が異なるからです。
 例えば、決算書の内容や銀行融資等を重視するのであれば、役員報酬を多少抑えても法人で利益を出す方針を取る方が多いですし、一方、社長個人の利益の最大化を目指すのであれば、役員報酬額を最大限に設定する方針を取る方が多いです。
 よって、ここでは一般論として、役員報酬額と法人税・消費税との関係や、法人税率、所得税率、社会保険等に関してご説明をさせて頂きます。
 また、細かな話をするととても複雑になってしまいますので、ここでは、説明を簡素化しております。

役員報酬額と法人税・消費税との関係、法人税率

 まず、役員報酬額を増減させた場合における、法人の法人税や消費税との関係についてです。

 


 早速結論になりますが、役員報酬額を増減させると、法人税に影響はありますが、消費税に影響はありません。また、役員報酬額を増加させると法人税は減少し、一方、役員報酬額を減少させると法人税は増加する関係にあります。

 


 次に、法人税率についてです。
 ここでは、「法人税率」とは、法人税のみならず、地方法人税や法人事業税、法人住民税も含まれるものとします。
 法人税率は、
利益が年間800万円以下の部分については「利益×25%」、年800万円を超えた部分については「利益×35%」とお考え下さい。

役員報酬額に課せられる社長の所得税と住民税

 役員報酬額を受け取る社長に対して課せられる所得税や住民税のお話になります。

 


 まずは、所得税についてです。
 所得税は年収ではなく、「課税所得金額」に対して課せられます。
 所得額の算定においては、年収のみならず、支払った社会保険料の額や配偶者控除、ふるさと納税等も加味されるため、皆さんそれぞれ異なります。
 次に、課税所得金額と所得税率の表を添付します。
 見方について、注意が必要です。

 


 例えば、「課税される所得金額」が300万円の方がいたとします。その場合の所得税額は、「300万円×10%=30万円」ではありません。「195万円×5%+(300万円-195万円)×10%=20.25万円」、という計算になります。
 
所得税率は、「5%~45%」になります。
 

課税される所得金額 所得税率
0円~195万円 5%
195万円~330万円 10%
330万円~695万円 20%
695万円~900万円 23%
900万円~1,800万円 33%
1,800万円~4,000万円 40%
4,000万円~ 45%

 

 次に、住民税になります。
住民税は一律で、「課税される所得×10%」になります。

役員報酬額に課せられる社会保険料

 役員報酬額に課せられる社会保険料のお話になります。
 社会保険料は、基本的に会社と社長が半分ずつ負担することになります。会社負担分は、「役員報酬額×約15%」、社長負担分も「役員報酬額×約15%」になります。

 


 因みに、社会保険料は「健康保険」と「厚生年金」とで構成されており、その割合は、「役員報酬額×15%」の内、約6%が健康保険、約9%が厚生年金になります。健康保険は支払った金額の多寡に関係なく、病院などにて請求される金額は医療費の30%(いわゆる「3割負担」)になります。一方、厚生年金は多く支払うとその分将来受け取ることがでいる年金額が増えます。

社長手残り金額の最大化には

 社長手残り金額を最大化するための基本的な方針は、「役員報酬をその期ごとに最大限支払い、可能な限り会社に利益を残さない」ということになります。
 その理由について、数値を使って簡易的に(社会保険料や住民税等は加味せず)ご説明します。

 


 仮に、役員報酬が0円とした場合に、1年目の利益が1,500万円、2年目の利益が1,000万円の会社があったとします。
 この場合には、パターン①では1年目に1,500万円、2年目に1,000万円の役員報酬を受け取る、パターン②では1年目に500万万円、2年目にその時点に残っている資金全額を役員報酬をとして受け取る、とします。
 2年目が終わった時点における法人の資金残高は、いずれも0円になります。

パターン①

 パターン①は、以下になります。
 

  年収 社長手取り額
1年目 1,500万円 1,313万円
2年目 1,000万円 921万円
合計 2,500万円 2,234万円


(注)会社の利益は、1年目、2年目共に0円のため、法人税は課せられません。

パターン②

 パターン②は、以下になります。
 

  年収 社長手取り額
1年目 500万円 486万円
2年目 1,730万円(※) 1,479万円
合計 2,230万円 1,965万円


(※)1年目にて、会社の利益1,500万円-役員報酬500万円=1,000万円に対して法人税が課せられます。法人税額は270万円で、1年目終了時の会社保有資金は、1,000万円-270万円=730万円になります。
 2年目の利益は1,000万円ですので、1期目の残りと合わせて会社の資金は1,730万円になります。

結論

 結論になります。
 よって、パターン①の方がパターン②と比較し、約269万円も社長の手残り金額が多くなります。

 


 ただし、一般的に役員報酬を受け取る際と比較をして社長に課せられる税金が少なくなる、会社の売却や退職金を想定される場合には、会社に利益を残すという選択肢も更に検討する必要があります。

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